逮捕されたらどうなるのか②(逮捕から当番弁護士との接見まで)

前回の記事では表記していませんでしたが、以後の解説部分では「あなた」を被疑者と表記します。

報道では「容疑者」の語が使われますが、法律上の正式名称は被疑者ですので容疑者の語は使いません。

1 逮捕後の手続

自宅で逮捕されて再び警察署に戻ってきたあなたは、まず持ち物の確認が行われ、着ていたスーツや手に持っていたスマートフォンも含めて、全て警察の方で預かることになりました。

その後、お昼の12時まで警察官から取調べが行われることになり、これまでの経歴や家族の構成、賞罰の有無、財産の有無さらには趣味等の今回の万引きとは関係のない事実について、警察官から次々に質問されました。あなたは質問については淡々と答えていましたが、お手洗いに行きたいと思い、警察官にお手洗いに行きたいと伝えました。警察官はお手洗いに行くことを認めましたが、監視する警察官がお手洗いまでついてきました。

供述調書を作成し終わると一旦休憩となり、あなたは留置部屋に移されました。部屋に入ってしばらくすると昼食が出されました。

昼食を食べ終わると警察官から外に出るように言われ、警察官の指示で写真の撮影と指紋の採取等の手続を行いました。

(解説)

逮捕状と同時に私物の捜索・差押えの許可状を裁判所が発付していた場合、被疑者が持っていた所持品は全て警察官が押収して保管することになりますが、そうでない場合でも貴重品(財布や現金、携帯電話等)や被疑者が使用して自殺・自傷行為を行う可能性のあるもの(ネクタイ、ベルト、紐付きの衣服、刃物等の危険物等)については警察署で保管することになっています。

早朝に逮捕された場合は、

午前中:身上や経歴に関する事項について取調べ

午後:昼食休憩を挟んで事件に関する事項について取調べ

取調べの前後で写真撮影・指紋登録

の流れで進むことが多いです。写真撮影や指紋採取については、身体検査の許可状が裁判所から発付されている場合は拒否することができません。

2 当番弁護士の依頼と接見

あなたには弁護士の知り合いがいませんでしたが、逮捕されたら一回だけ弁護士を呼んで話をすることができる制度を知っていました。そこであなたは、指紋採取の手続が終わった後、警察官に「弁護士と話がしたいので、弁護士を呼んでほしい」と言いました。

すぐに午後の取調べが始まりましたが、取調べの途中で、警察官から弁護士が接見に来たと言われ、取調べが中断しました。

あなたは警察官に連れられて取調室から面会室の前に移動し、面会室に入った後に手錠を外されました。ガラス越しに金色のバッジを付けたスーツ姿の男性を確認すると同時に、警察官によって面会室のドアが閉められました。

「初めまして。当番弁護士として伺いました、弁護士の山田太郎と申します。」

あなたは田中弁護士に今回の事件について説明し、可能であればスーパーの店舗に被害弁償をして早く釈放されたいこと、家族への伝言をお願いしたいことを依頼しました。

「現時点では私は○○さんの弁護人になっていませんので、示談交渉やご家族への伝言をすることはできません。ご契約頂ければ弁護人として仕事をすることができますが、いかがしましょうか。」

あなたは田中弁護士に弁護を依頼することを伝え、田中弁護士から差し入れてもらった契約書類に署名と指印をしました。その後、家族の連絡先を伝えた上で、弁護士費用については立て替えてほしいこと・勤務先には急病のためしばらく欠勤することを伝えてほしいと依頼しました。

弁護士との面会終了後、再び取調べが再開されました。

(解説)

被疑者が逮捕された場合、警察官又は検察官に依頼をすることによって、無料で弁護士と面会することができます。この制度を当番弁護士制度といいます。

この当番弁護士は、弁護士会が当日待機している弁護士の中からランダムで一人指名し、指名された弁護士が(原則)24時間以内に警察署へ行って被疑者と面会し、刑事手続の概要や取調べの助言、弁護士選任の案内等を説明するものです(※大阪の場合)。

一般の方(家族、友人、勤務先関係者等)が警察署内にいる被疑者と面会する場合、面会できる時間や回数、人数に制限があります(例:休日は不可、面会は被疑者一人につき一組まで、時間は一日一回20分まで等)。また、面会の際には必ず警察官が立ち会い、事件に関する会話ができません。これに対して、弁護士が面会する場合はそのような制限が一切ありません

さらに、弁護士であれば被疑者が取調べ中であったとしても、取調べを中断してもらって被疑者と面会することができます。これらの特権は、接見交通権という被疑者の固有の権利に基づくものです。

この当番弁護士ですが、面会の時点では被疑者の代理人(弁護人)になっていません。被疑者が当番弁護士に弁護を依頼したい場合は、その弁護士との間で弁護の契約を結ぶか、勾留の決定後に国選弁護人として裁判所から弁護人の選任を待つ必要があります。

(※国選弁護については後程説明します)

今回被疑者である「あなた」は、田中弁護士との間で弁護の契約を結ぶことになりましたが、契約では弁護するために先に払わなければならないお金(着手金)が規定されていることが通常です。

警察署にいる間は自宅に戻って現金を準備したり、ATMでお金をおろしたりすることができませんので、着手金については(難しいですが)手持ちの現金を警察官を通じて弁護士に渡すか、ご家族等に代わりに払ってもらうことを検討しなければなりません。

また、警察署にいる間は携帯電話等の電子機器が一切使えませんので、着手金の準備も含めて、ご家族や勤務先等への伝言を弁護士に依頼することになると思います。勤務先等への連絡については、誰から連絡するか(弁護士からか家族からか)・いつ連絡するか・何を連絡するか(事件の内容は伏せるか)を被疑者とよく協議しながら行うことになります。

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