逮捕されたらどうなるのか④(勾留質問から勾留開始まで)

1 裁判所での弁護人との打合せ

裁判所に到着したあなたでしたが、裁判所の職員から勾留質問が始まるまで時間がかかるとの説明を受けましたので、裁判所内の留置部屋で待機していました。

しばらくすると、職員から弁護士が裁判所に来たため面会室に行くように指示がありました。あなたは警察官に連れられ、面会室に到着しました。面会室には、ガラス越しに田中弁護士が椅子に座っていましたが、少し落ち込んだ表情をしていました。

「良くないお知らせです。先程スーパーの担当者から電話があり、裁判が始まるまでは被害弁償に応じないと言われてしまいました。引き続き私の方で弁償するための交渉をしますが、少し時間がかかりそうです。」

「これから、裁判官が○○さんに対して勾留するかどうか判断するための質問の手続があります。裁判官は、今回の万引きの事実について間違いがないかどうかを聞いてきますので、問題なければ間違いないと言ってください。もし機会があれば、スーパーの店長や従業員に接触したり、自宅から逃げ出したりすることはしないと裁判官に話してください。私からも、後で裁判官に意見を伝えますので。」

田中弁護士が勾留質問について一通り説明し終わると、面会室の外からピピピーというタイマーの音がしました。「接見終了です」の声と共に、あなたは面会室のドアを開けて入ってきた警察官と一緒に面会室を後にしました。

(解説)

一般の方が裁判所で被疑者と面会することはできませんが、弁護人であれば被疑者と裁判所で面会(接見)することができます。また、検察庁でも被疑者と接見ができます。但し、裁判所での接見は時間が限られており、20分程度しか時間をもらうことはできません。

上記の事例のように、被害者から示談を拒否されてしまうと、被疑者が早期に釈放される可能性が低くなってしまいます。被害弁償自体は、法務局に弁償金相当額を預ける(供託する)ことによって(法律上は)代替できるのですが、被害届の取下げについては示談が成立しないと応じてくれないためです。

2 勾留質問から勾留決定、勾留の執行

田中弁護士の接見も終わり、留置部屋で昼食を食べ、さらに待っていたあなたでしたが、ついに勾留質問を行うことになりました。警察官に連れられ部屋に入ると、スーツを着た若い男性がテーブルの奥に座っており、スーツには銀色のバッジが着けられていました。

「初めまして。あなたは○○○○さんですね。あなたに対する窃盗被疑事件の勾留請求について、勾留質問を担当します裁判官です。あなたには黙秘権があり、聞かれたことについて答えても、答えなくても構いません。分かりましたか。」

裁判官は淡々とした様子であなたにこう説明し、続いて万引きの事実について読み上げました。

「・・・・したものである。今私が読み上げた事実の中で、間違っている部分はありますか。」

「特にありません。ただ、」

「分かりました。既にあなたには田中太郎弁護士が弁護人として就任していますね。

本日付で勾留決定を行いますので、勾留の通知は田中弁護士に行います。手続は以上です。」

あなたは逃亡しないこと等を裁判官に訴えようとしましたが、裁判官は全く聞く耳を持ってくれず、手続はそのまま終わってしましました。あなたは警察官に連れられて部屋を後にし、留置部屋に戻されました。

しばらくするとあなたは、護送車で裁判所から警察署に戻されました。警察署に到着すると、警察官から勾留状を見せられ、元居た警察署の留置部屋に戻されてしまいました。

(解説)

裁判官が被疑者を勾留するか判断する前に、裁判官が勾留質問として被疑者に直接質問する手続があります。この手続は警察署や検察庁での取調べ(弁解録取)とは違い、あくまで被疑者を捜査のために勾留する必要があるのかを判断するための手続です。もっとも、裁判官は検察庁から送られてきた捜査資料に目を通していますので、勾留質問は事実を認めるか否かという形式的な質問をされて終了、ということもあります。

なお、今回は既に弁護人が選任されていますが、勾留質問の時点で弁護人が選任されていない場合は、必ず裁判官から国選弁護人を付けることができる権利の説明が行われます。

なお、裁判官が勾留の決定を出した時点では被疑者はまだ勾留されておらず、裁判官が発付した勾留状を検察官が執行(勾留状に署名と押印をする)した時点で被疑者が勾留されます。勾留場所はいきなり拘置所となる訳ではなく、移送される前に留置されていた警察署になることが多いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました