逮捕されたらどうなるのか⑦(保釈)

1 起訴状の受領

起訴された日の翌日、警察署の警察官から裁判所からの書類が手渡されました。書類には「起訴状」とのタイトルが付けられており、あなたの名前と住所、本籍地、職業の他に万引きの事実が記載されていました。

起訴されて以降、警察官の取調べは一切行われず、かといって留置部屋の中ですることもありませんでしたので、小説を読んだり差し入れてもらったパズル雑誌を解いて時間を潰していました。

(解説)

検察官による起訴は、検察官が裁判所に起訴状という書面を提出し裁判所がこれを受け付けることによって行われます。勾留決定とは異なり、裁判官が被疑者に対して質問する手続はありません。

この起訴状ですが、起訴した検察官の氏名や職印の他に、

〇被疑者の氏名、生年月日、住所、本籍地(外国人であれば国籍)、職業

〇裁判の対象になる犯罪の事実(公訴事実)

〇適用される法律と条数 ※万引きであれば「窃盗 刑法第235条」

が記載されます。

起訴状は被疑者が勾留されていれば勾留場所に、されていなければ住所に裁判所から送付されます。

検察官が起訴することによって、法律上被疑者から被告人に名称が変わります。報道では「○○○○被告」と呼称されますが、民事裁判での「被告」とは区別されます。

この被告人ですが、建前上は検察官と対等な立場となりますので、起訴後は検察官や警察官が被告人を強制的に取り調べることができなくなります。被告人が任意に応じれば取調べをすることはできますが、被告人が拒否した場合は別件での逮捕等を取る必要があります。

被疑者の段階で勾留決定が出ていた場合、勾留期間が満了するまでに起訴された場合は自動的に被告人としての勾留に切り替わることになります。被告人としての勾留の期間は起訴された日から2ヶ月となっていますが、1ヶ月毎に更新されます。通常は裁判手続が終結するまで勾留が続きますので、釈放されるためには保釈の手続を取る必要があります。

2 保釈されるまで

あなたが起訴されてから3日目のお昼に、田中弁護士が警察署を訪れました。

「ご家族の協力を頂きましたので、昨日裁判所に保釈の請求をしました。検察官からも反対の意見は出ませんでしたので、先程裁判官が保釈を認める決定をしてくれました。

保釈金は150万円ですが、既にご家族からお金をお預かりしていますので裁判所に納付する予定です。

おそらく今日の夜に釈放されると思います。携帯電話も返されると思いますので、携帯電話か公衆電話からご家族に電話して警察署に迎えに来てもらうように言ってください。

今後は裁判が終わるまでご実家で生活してください。保釈金が返ってこない可能性もありますので、生活には十分気を付けてください。裁判の説明については、釈放された後に私から改めて説明します。」

田中弁護士があなたに色々と説明してくれましたが、あなたの頭の中はようやく警察署の外に出ることができる喜びで一杯になっていました。

その日の午後7時頃に、警察官から釈放との説明があり私物の返還手続きを終えると、あなたは約2週間ぶりに警察署の外に出て空気を吸うことができました。

(解説)

保釈については、

①弁護士が裁判所に保釈の請求

②裁判官が検察官に対して保釈に対する意見を聞く

③②の意見を基に、裁判官が保釈を認めるかの決定を行う ※裁判官から追加の説明や資料を求められることも

④裁判官が保釈を認めた場合、弁護士宛に保釈金の金額が伝えられる

⑤弁護士が保釈金を裁判所に納付する

⑥裁判所が納付を確認した後に、検察官に対し被告人を釈放するように指示する

⑦検察官が留置施設に対し被告人を釈放するように指示する

⑧釈放

という流れで進みます。

②から③の手続で時間がかかってしまうため、保釈の請求をした日に裁判所が保釈を認める決定をしてくれるとは限りません。また、⑤の納付の手続については、今はインターネットバンキングを使用して支払することができますので有難いです。

保釈を認める決定には、保釈金の金額の他に幾つか条件が付けられています。保釈中の住居場所の指定や証拠隠滅行為の禁止はどの場合も付けられますが、外国人の場合は海外への渡航の禁止の条件が付けられることがあります。これらの条件については警察官から説明されることがありませんので、弁護士から説明を受ける必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました