自己破産における免責許可の手続

裁判所が自己破産手続の開始決定を行った後、債務者(破産者)の債務の支払義務を免除してよいかを審査する免責許可の手続に入ることになります。

裁判所が免責許可の決定を出す条件についても破産法で規定されており、具体的には

 破産法で列挙されている、免責を認めない理由(免責不許可事由)のいずれにも該当しない場合

又は

2 1の免責不許可事由のいずれかに該当する場合でも、破産手続を開始するに至った経緯等の事情を考慮すると、免責させることは相当と認められる場合

には、裁判所が免責許可の決定を出すことになります。

免責不許可事由は、11個の類型が破産法で規定されています。

①債権者の利益を侵害する目的で財産を隠匿等する行為をした

②破産手続が始まるのを遅らせるために不利益な条件で債務を負担する等した

③特定の債権者を優遇する又はその他の債権者を冷遇する目的で特定の債権者にだけ弁済等をした

④浪費や賭博をしたことで財産を著しく減少させ、又は過大な債務を負担した

⑤破産手続の申立をした日から1年前~破産手続開始決定日までの間に、支払不能状態にあることを知っていながら騙して信用取引を行った

⑥業務や財産状況に関する帳簿等を隠滅する等した

⑦嘘の債権者一覧表を裁判所に提出した

⑧裁判所が行う調査に対し、説明を拒否したり嘘の説明をしたりした

⑨破産管財人等の業務を不正に妨害した ※破産管財人については後程説明します

⑩免責許可等の決定を受けてから7年以内に再度免責許可の申立を行った

⑪その他破産法が規定する破産者の義務に違反した

個人の自己破産の実務で特に問題になるのは、③・④・⑩だと思います。

債権者に対して一斉に受任通知を送ったにもかかわらず、債務者が個人の債権者に対してだけお金を返していた・債務者本人が債権者の存在を把握しておらず引落が止まっていなかったという事情が見つかると③の問題になります。

後者は裁判所に対して、債権者の存在を失念していた理由を正直に説明すれば裁判所も納得してくれる場合がありますが、前者の場合は個人の債権者に対して、弁済済みの金額を返してもらうよう交渉しなければならないこともあります。

④については、ギャンブル等をした事実自体が免責不許可事由になるものではなく、ギャンブルをした結果債権者に弁済できないほどの生活状況に陥ったことを問題にしていると個人的には解釈しています。

免責についての詳しい話は、債務整理の概要の説明が一通り終わった後に、各論として説明したいと思います。

最後に、裁判所が免責許可の決定を出したからといって、債務自体がそのまま消滅するわけではありません。

すなわち、債務の性質が

債権者が取り立てたり、裁判を通じて債務者の財産から強制的に回収することができるもの から、

債権者が取り立てることができず、債務者の財産から強制的に回収することもできないもの

に変わることになります(この変わった後の債務を「自然債務」といいます)。

ですので、債務者が自分の意思で債権者に弁済することは可能です。当然弁済した金額だけ債務は減少します。

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