「任意整理できないなら破産する」が交渉カードにならない理由

前回の記事で、任意整理ができない(債権者との交渉が決裂して今後の弁済ができない)場合は自己破産又は個人再生を検討することになると説明しました。

これを逆手に取って、債権者に対し「交渉できないなら自己破産する(貸したお金は回収できないけどそれでいいのか?)」と警告することができるのではないか?と考える方がいるかもしれません。

答えは「ノー」です。

債権者(貸金業者を想定しています)は、こう考えます。

「もともと回収できる見込みが低く、かつそこまで高額でもない貸金を数年間も管理するのはコストがかかる。破産してくれればその分だけ税金を下げられるから、早く破産してくれ。」

債権者の立場としては、債務者との間で分割払いの合意をすると、元々支払いが滞っていた「不良債権」をさらに数年間も管理しなければならず、支払いが滞った場合の催促も含めた管理のコストを負担しなければなりません。合意時に将来利息を支払う条件を付ければ利息分の儲けを出すことはできますが、それも微々たる金額です。

これに対して、債務者が破産手続を行えば、債権者は遅くとも手続が終結した時点で、貸していた金額全額を経費(厳密には「損金」に該当します)に参入することになります。経費が増えれば増えるほど、債権者の税法上の儲けは少なくなり納める税金の額も減りますので、債権者が一方的に不利益を被るものではありません。加えて、将来の管理コストも負担する必要がなくなります。

ですので、個人の債権者はともかく、貸金業者はよほどのこと(一時的に多額の借入れをして、直後に自己破産の準備に入る等)が無い限り、自己破産に反対してくることはありません。

任意整理は、一般的に債務者側の交渉材料が少ないですので債務者にとって有利な条件で交渉を行うことが難しくなっています。

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